ホームに戻る
Kindle用の電子書籍を作成してみる
ネット上で公開されている Mobipocket Creator を使うと、HTMLファイルからKindle用の電子書籍 (mobiファイル) が作成できます。
Mobipocket は英語用の電子書籍作成ソフトなので、残念ながら日本語の縦書きやルビなどには対応していません。
* 縦書きKindle電子書籍の作成方法については,こちらを参照してください.
しかし、Kindle用のmobiファイルは、日本語コードについてはUTF-8に対応しています。
そのため、青空文庫で※印となっているようなJIS第三・第四水準レベルの漢字も、ほとんどのそのまま表示することができます。
ただし、Kindle用の電子書籍を作成するさい、こちらで※印を漢字に直してやる必用があります。
Kindleのフォントもなかなか読みやすくキレイなので、横書き表示でも予想以上に読書を楽しむことが可能です。
さて、ここではHTMLファイルでダウンロードした青空文庫の作品を材料にして、Kindleの電子書籍を作ってみることにします。
1.青空文庫のHTMLファイルを加工する
青空文庫のHTMLファイルには、Windowsのブラウザに独自対応したルビのタグがつけられています。
しかしこのルビは、Kindleではルビとして表示されず、(ルビ)のように括弧つきのまま表示されます。
そこで、Kindleでルビを読みやすくするよう、表示を(ルビ)のような青色に変更します。
そうすることで、Kiindleの画面でテキストを表示したさい、ルビがグレー表示となり読みやすくなるからです。
また、Kindleの電子書籍となるmobiファイルでは、青空文庫のShift-JISコードのままでは日本語表示できません。
そのため、テキスト全体の文字コードをUTF-8の文字コードに変換する必要があります。
そこで、まずはタグの書換え、ファイルの文字コードをUTF-8に変換、以上2点の作業を行うことにします。
エディタを使い手動でもできる作業ですが、手間をはぶき時間を節約するため、今回はPerlのスクリプトを使います。
そのため、作業の前にActivePerlをインストールしておく必要があります。
また、Perlが正常にインストールされているかどうか、Perlのインストールを確認しておきましょう。
作業には、このスクリプトファイル reform_aozr.pl を使用します。
そのままの名前でパソコンにファイルを保存してください。
* reform_aozr.pl はUTF-8のファイルなので、メモ帳などで開いたさいは、Shift-JISで保存しないよう気をつけましょう。
1.Windowsの 「アクセサリ」 メニューから 「コマンドプロンプト」 を起動.
コマンドプロンプトの画面内で次のコマンドを実行します.
perl reform_aozr.pl hansiti1.html > hansiti1_u8.html
上のコマンド実行例では,青空文庫から落としてきたHTMLファイル hansiti1.html のタグと文字コードを書換え,
hansiti1_u8.html という名前で新しいファイルを作成しています.
hansiti1.html ファイルは元のまま, hansiti1_u8.html がタグと文字コードを書き換えた電子書籍用ファイルです.
2.補足.
reform_aozr.pl では,HTMLファイルの<body> ~ </body>タグ内の本文だけを取り出すこともできます.
使い方は,HTMLファイル名の後に -b をつけるだけです.
perl reform_aozr.pl hansiti2.html -b > hansiti2_u8.html
<body> ~ </body>内の本文だけを取り出すことで,複数のHTMLファイルを1つのファイルにまとめるような時など,
ヘッダ部と末尾のタグを削除するという余分な手間をはぶくことができます.
2.HTMLファイルからmobiファイル(電子書籍)を作成する
上の作業で加工したHTMLファイルを元に、Kindle用の電子書籍となるmobiファイルを作成します。
ここからは、Windowsのアプリケーション Mobipocket Creator を使い作業します。
1.Mobipocket Creator を起動.
左側 Create New Publication の項目から, Blank publication を選択.
2.設定画面の Enter the Publication Name の項目に作業フォルダ名を入力.
* ここでは説明の便宜上 HANSITI と入力しておきますが,名称は自由です.
下の項目の内容を確認し,Create ボタンをクリックする.
Create in folder: ../Documents/My Publications
Language: Japanese
Encoding: International (UTF8)
3.Publication Files の画面になるので,hansiti1_u8.html ファイルを画面右側にドラッグする.
* 画面では hansiti.html となっていますが, hansiti1_u8.html に置き換えてください.
4.表紙のグラフィックが用意してあれば――
左側 Cover Image の項目を選択し,電子書籍の表紙となるグラフィックを設定.
Update ボタンをクリックする.
* 表紙が必要なければ,この設定は行なわなくていい.
5.Table of Contents の画面で目次を設定する.
Table of Contents Title: 目次
Table of Contents Generation rules:
Fast Level: h1 class title
Second Level: h1 class subtitle
ここで作成する目次は,HTMLファイルのタグをもとに作られます.
Fast Level と Second Level の項目が,HTMLファイルのタグと連動していることに注意してください.
つまり,元となるHTMLファイルのタグのつけ方により,設定項目も変える必用があるということです.
画面上部の Preview in Bowser をクリックすると,目次の作成状態を確認できる.
以上が確認できれば,Updateをクリックし次の作業に進む.
Updateをクリックすると,Publication Files の画面に Table of Contents という目次欄が追加される.
6.画面左側 Book settings の項目を選択,以下の項目を設定し Updateボタンをクリック.
Book type: HTML
7.画面左側 Metadata の項目を選択し,以下の内容を設定.
eBook Title: 半七捕物帳 ← 名称は自由. これが正式な本のタイトルとなる.
Author: 岡本綺堂 ← これが正式な本の著者名となる.
Language: Japanese
Main subject: Novels
Publishing Date: 03/01/2012 ← 洋式で作業日の日付を入れる.(この例では 2012年3月1日)
画面の一番下にあるUpdate ボタンをクリックする.
8.画面右上の Build アイコンをクリックし,Build Publication の画面に切り換える.
Compressin options: Standard Compressin を選択.
Encryption options: No encryption を選択.
Build ボタンをクリックする.
8.ビルドが終了し,Build finished の画面に切り変われば作業終了.
OKボタンを押さず,そのまま Mobipocket Creator を終了してかまわない.
また,
Preview it with the Mobipocket Reader for PC を選択.
OKボタンをクリックすると――
Mobipocket Reader が起動し、電子書籍の仕上りを確認することができる.
確認画面1, 確認画面2, 確認画面3
3.mobiファイルに関する情報
今回の作業ではあまり利用していませんが、mobiファイルの電子書籍ではHTMLファイルのタグにもある程度対応しています。
文書中にグラフィックを入れたり表を挿入するなど、HTMLファイルでできることには一通り対応しています。
mobiファイルで利用できるHTMLのタグについては、こちらMobipocket Developer Centerにあるタグ情報を参照してください。
Mobipocket Developer Center では、ほかにもmobiファイルに関する数多くの情報が掲載されています。
ホームに戻る